武州多摩郡小野路村の小島家は、幕末期の第20代小島鹿之助が当主の頃、天然理心流4代宗家近藤勇やその門人の土方歳三、沖田総司、江戸市ヶ谷にあった同流試衛館道場の食客山南敬介らと盛んに交流した。小島家が同流のこの地域における稽古場を提供していたからで、その縁で新選組結成以後も書簡のやりとりを行い、物心両面で支援していた記録が残っている。維新後の明治6年頃、鹿之助は戊辰戦争の果てに国賊となってしまった近藤勇と土方歳三の冤罪を雪ぎ、その本志を広く天下に知らしめるため、漢文「両雄士伝」を撰した。そしてその中で、「二子の如き者、其忠誠義烈高し」と最高の賛辞をもって称えている。また、鹿之助の子で第21代当主の守政は、「両雄士伝」を補う「両雄逸事」を書いた。これら新選組にゆかりの深い資料をはじめ、先祖代々引き継がれた古文書、典籍、武具、調度、書画幅など多くの歴史資料が小島家には大切に保存されている。特に、天保7年より大正10年まで86年間続いた小島家年中日記は、近代日本の変遷を研究する上で貴重な現存資料として専門家から注目されている。
小島家第23代当主小島宗一郎は、祖先の偉業と志を広く伝える事を目的に、私財を投じて広大な森を背にした邸宅を鉄筋コンクリート造り2階建ての歴史資料館に改築した。そして、明治100年を祝う昭和43年11月に開館し、一般公開を始めた。 資料館には、近藤ら天然理心流幹部が出稽古に訪れた天保13年築の旧屋敷の柱や間取り、また、関東取締出役の居室であった上段の間などは当時のままに残されている。表門から敷地に入り、母屋玄関の手前には、彰義隊が官軍と戦ったときの弾痕が残る上野寛永寺から移設の灯篭がある。四季の木々に彩られた日本式庭園には、小島鹿之助の胸像が母屋を見上げている。また、母屋から渡り廊下で繋がれている資料室の前には、近藤勇の胸像が置かれている。 現在は、法人組織「株式会社小島資料館」として、第24代当主の小島政孝氏が、膨大な資料をコツコツと整理解読し、まとめ作業を継続されている。その研究成果は、小島資料館の出版事業として発表されており、これまでに、「武術天然理心流上」、「新選組余話」などがある。離れには研究事業のための事務所と会議室を備えており、新選組と天然理心流の研究などを行う「幕末研究三十一人会」事務局、町田市の歴史に関する「町田地方史研究会」事務局が置かれ、「小島日記研究会」、「異聞録研究会」などを運営している。10、000点以上といわれる歴史資料のうち、6、654点の古文書が、平成5年に東京都指定有形文化財に指定されている。個人所蔵の歴史資料館としては、その充実度は日本国内では他に類を見ない。 |
小島資料館館長 小島政孝氏のコメント
「ここを訪れる人は年間おおよそ1000名です。新選組ファンが圧倒的に多いのですが、その中でも最近若い人が目だって増えてきました。資料の現物を見る機会は、そう多くないはずです。小説から新選組に興味をもち、そしてここにお見えになれば、新選組隊士の人物像が自ずと変わってくると思います。」(interviewed on Dec. 1st, 1996) |
小島資料館
[所在地]町田市小野路町950 [最寄駅]小田急線鶴川駅より神奈中バス「多摩センター行き」20分、あるいは京王線多摩センター駅より「鶴川行き」10分「中宿」下車徒歩1分 駐車場有り(5台) [開館日] [入館料]大人500円、小学生300円 |
TEL :0427-36-8777 FAX :0427-35-0104 |
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三浦正人 e-mail
: miura@tamahito.com